2010/07/12(月)目標設定

リーダーが目的や目標を示さなければ、何事も成されない。目標設定こそ組織の死活を決めることであるからリーダーにとっては目標設定は非常に重要な事柄だ。

何を目標にするのか考えるにあたっては、注意すべきことがらがいくつかあろう。例えば人と競り合う、あるいは戦う事柄については、相手と同じ土俵に乗らないようにする事を心がけたほうがよい。相手と同じゴールを目指す場合、それが達成できないリスクが高いのだ。

単純に「勝負に勝つ」ことを目標にしたい場合でも、哲学をどうするかは問題だ。ここで言う哲学とは、正々堂々とか、共有されているルールをどこの線まで(余裕を持って)守るかとか、評価指標を何にとるか、ということだ。独自ルールと言い換えてもよい。この哲学設定を相手と変えることによって、相手と同じ土俵に立たずに、しかし競うことができる。そして、万一共有ルール上で負けたとしても、勝負哲学上では勝つことも可能となる。互いに独自の哲学で、同じ土俵に乗らずに勝負すれば、両者が勝者となることも可能なわけだ。

こうしたそれぞれの哲学を考慮に入れて「戦い」を見ると、競っている者同士は確かに共有ルール上で互いに打ち負かし合いをしているけれども、同時にそれぞれが自分の哲学上の目標達成を賭けて自分と戦っている様も見てとれる。

こうした独自哲学は、より確率の高い「勝利」をもたらしてくれるが、同時に「勝利の形の制限」ももたらす。哲学による独自目標を設定したとたん、勝利も敗北もその最終形は一定の想定された範囲内に収まってしまい、真に自由な哲学発達は得られない。いや、難しく言うのをやめれば、要するに想定外の結果(果実)がもたらされるうる自由闊達な活動は無くなるということだ。

芸術や研究は、目的・目標が仮ででも設定されてないとモチベーション不足で大抵行き詰ってしまうが、目的や目標からふみはずしてしまうことを制限していては何も生まれない。目標からはずれて邁進する何かが舞い降りたときこそ、新しいものが生まれるのだ。